放射線研修委員会シンポジウム「胃がんX線検診における精度格差をなくそう!part2 ~撮影精度を中心に~」
掲載日 : 2016年7月12日
※ 開催概要は「第46回日本消化器がん検診学会九州地方会」をご覧ください。
【目的と意義】
昨年の同シンポジウムでは、「胃がんX線検診における精度格差をなくそう!~胃がんX線検診の精度向上に対する試み~」といったテーマで、各施設の撮影方法、安全対策への取り組み、追跡調査の実施、胃がん検診専門技師の取得、学会や研究会への参加などについて、総論的にご発表していただき、討論を行った。
その結果、安全対策への取り組みや胃がん発見成績の把握を含めた追跡調査の実施について、いずれの施設においても十分な精度で実施されていたこと、その一方、基準撮影法の導入状況、胃がん検診専門技師の取得率、学会や研究会への参加状況には、施設間や技師間において、多少の格差があったことが明らかになった。特に、基準撮影法の導入状況においては、その主な取り決め事項* について‘遵守’されておらず、正確な方法で普及していない現状があり、撮影精度における根本的な格差が生じていることが考えられた。
そこで今回は、テーマを“撮影精度”に絞り込み、
(1) 基準撮影法は‘遵守’しているか?
・遵守している施設は、遵守に至る経緯、及び導入による成果と問題点
・遵守していない施設は、遵守に至らない問題点
(2) 基準撮影法を導入したうえで、更なる撮影精度向上を目的として行っている取組みや工夫
以上について、各施設よりご発表していただき、基準撮影法の遵守に至らない具体的な問題点を抽出し対策を講じること、さらには応用的な撮影精度向上策を共有することで、施設間や技師間における撮影精度の格差是正、及び向上を図っていきたい。
* 基準撮影法の主な取り決め事項
1. バリウム;高濃度低粘性粉末製剤200~230w/v%・150ml前後
2. 空気 ;5.0g(水、またはバリウム20ml程度で飲用)
3. 体位変換;右回り360度回転変換法を主体とし、水平位で実施
4. 撮影方法;二重造影法主体、後壁→前壁→上部の順
5. 撮影手技;前壁撮影ではフトン使用と安全対策が必須